「いつの日か、バルセロナに戻れたら…」
バブンスキーは国の歴史を変えたチームの最年長にして10番を背負い、キャプテンも務める。文字通りU-21マケドニア代表の大黒柱。仮に出場すれば数週間にわたって横浜FMを離れることになるが、本人は「U-21代表は特別な世代で、チームにとっても自分にとっても最後の機会になる。(A代表のチャンスもあるなら)もちろん両方出たい」と、6月の2つの大きなチャレンジに並々ならぬ意欲を見せる。
そんな息子を案じる父ボバンは、日本で一歩一歩着実に成長を続ける息子にアドバイスを送った。自分もかつてプロとして戦ったからこそ、その世界の厳しさが身にしみているのかもしれない。
「試合でも練習でも、どんな時も持てるクオリティのすべてを見せ、ピッチ上では毎日ポテンシャルのすべてを示し続けること。3〜4ヶ月経てばダビドにとって(Jリーグが)最良の選択だったとわかるはずさ。
横浜FMには素晴らしいコーチングスタッフがいて、彼が10年間過ごしてきたバルセロナと同じような哲学を持っているのだから。日本は彼にとって最高の国。文化も、人々も、それらを取り巻く驚くべき勤勉なメンタリティや倫理観も、すべてがサッカーのために完璧な環境なんだ。そしてプレーを楽しんで欲しいね」
バブンスキー本人も父の思いに呼応するように、一度挫けかけたキャリアを日本で取り戻し、選手としてさらなる高みを目指すことを誓った。そしてJリーグでプレーする喜びを取り戻した今、キャリアにおける目標も再び明確になってきている。
「日本で僕自身のプレースタイルを磨き上げて、ポテンシャルのすべてを発揮したい。チームのために戦えばたくさんのものをもたらせると感じている。もっと優れた選手になることに最大限集中して、結果を出したい。未来を切り拓けるかは自分自身が今何をしていくかにかかっている。
今はチームやファン、チャンスをくれたクラブとともに素晴らしいシーズンを過ごして、より成長するためにトライし続けたいということだけだ。将来がどうなるかは全くわからない。明らかなのは僕が大きな野心を持っていて、リーグの中でも最高のチームにいるということ。いつの日か世界最高のクラブ、バルセロナに戻れたらいいね。これがキャリアにおける大きな目標かな」
(取材・文:舩木渉)
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