バルサ退団からの苦難。セルビアで過ごした失望の1年
バブンスキーはその中で主力に定着したとは言えなかったが、途中出場などでコンスタントに起用されていた。それでもトップチーム昇格は難しいと判断し、バルセロナBとの3年契約が切れる直前の2016年1月、クラブと双方合意のもとで契約を解除した。
「サイクルの終わり、バルセロナを出る時だと思った。10年間、素晴らしい経験を積むことができた。トップチームに昇格するのは困難で、チャンスはほとんどない。世界最高のクラブであるのは承知の通りで、非常にレベルが高いからね。キャリアを続けていくために、外へ出て新しいスタイルを経験することが完璧な選手になるために必要だった。これは僕の決断であり、クラブともお互いに、僕のキャリアや将来にとっていいことだと思って合意した。幸せな形での別れだった」
当時を振り返るバブンスキーにとって、バルサでの日々が自身のサッカー観のベースになっている。度々トップチームの練習にも参加していたようで、「実際に見て刺激を受けたのは、やっぱりメッシかな。彼は歴史上最高の選手。一緒にトレーニングできた経験は何物にも代え難かった。バルサではイニエスタやロナウジーニョも同じような存在だ。シャビやブスケッツ、ネイマールといった選手たちからも本当にたくさんのことを学んだ」と懐かしそうに振り返った。
バルセロナを退団してすぐ、バブンスキーはセルビアの名門レッドスター・ベオグラードに加入した。だが、そこでは苦難の日々が待っていた。シーズン途中でチームに合流した若者にはほとんどチャンスが与えられず、リーグ優勝というタイトルこそ獲得したものの、出場はわずか6試合にとどまった。
シーズンをまたいでも状況は一向に好転しない。セルビアでの1年間は、試合に出て貪欲に成長を追い求める22歳にとって苦痛だったにちがいない。「セルビアでは多くの外的要因があった。プレーできるかできないかがフットボールではないところで決まっていた。しっかりと組織化されていなかったし、頽廃(たいはい)していた」と、レッドスターの惨状を吐露する。
「誰も僕がプレーできない理由や、どうやったら試合に出られるのか理解していなかった。でも、チームメイトをはじめとして周りの人たちはすごくサポートしてくれた。監督が誰を出すか決められない事態はフットボールではしばしば起こりうることだし、そこから重要なことを学べた」