「内なる声」に導かれたJリーグ移籍
「決断は非常にシンプルで、内なる声、ハッキリとした直感が、日本こそサッカー選手として成長するために最高の行き先だということを示していたんだ」
今季開幕前、タイで行われたキャンプに練習生として参加し、横浜F・マリノスとの契約を勝ち取ったダビド・バブンスキー。マケドニア出身の23歳は、自らの「内なる声」に導かれて日本へやってきた。
1994年にマケドニアの首都スコピエで生まれた直後から、ブルガリア、ギリシャ、日本、スペインなど父ボバンがプレーする土地を渡り歩いてきた。そのためバブンスキーは2歳から4歳の頃、大阪で暮らしていた。日本人の子供たちと同じ幼稚園にも通っていたという。
1996年から1998年にかけてガンバ大阪でプレーした父ボバンは当時を回想する。
「ダビドは毎試合、私とガンバのことを応援しにきていたよ。その頃から彼が将来フットボールの道に進むことを確信していた。私はどんな子どもでも幼少期に経験したことが将来の目標を決めると信じていたんだ。幼稚園では日本人の子供たちと一緒に日本語の曲を歌っていたよ。今でも歌えるかどうかはわからないけどね(笑)」
ダビドは4月末に行われた父の古巣ガンバ大阪戦の前、「日本は僕にとって特別な国。たくさんの写真を持っているし、あの頃のことははっきりと覚えている」と語っていた。それは大阪での日々があったからに他ならない。
一度日本を離れたバブンスキー一家は、ギリシャ、スペイン、ベルギー、ドイツと数年ごとに父ボバンの所属先へと居を移す。落ち着かない生活だったが、その末にたどり着いた安住の地がバルセロナだった。
12歳になっていたダビドは、名門バルセロナの下部組織に入団する。その後は順調に昇格を重ね、2013/14シーズンに19歳でバルセロナB昇格を勝ち取った。
当時のバルセロナBはスペイン2部を戦っていた。チームメイトには同い年のデニス・スアレス(現バルセロナ)をはじめ、近い年代にムニル・エル・ハッダディ(現バレンシア)やセルジ・サンペール(現グラナダ)、アレハンドロ・グリマルド(現ベンフィカ)、サンドロ(現マラガ)らがいる。