『タケ』と『レオ』の共通点。そして後輩へのエール
J3ではあるが、15歳にして森本貴幸の持っていたJリーグ最年少ゴール記録を塗り替えた久保の才能は誰もが認めるところ。バブンスキーはその資質が、ある選手に通じていると分析している。リオネル・メッシだ。
「深く知っているわけではないけど、タケはファンタスティックな少年で、謙虚で、バルサにいた小さい頃は小柄で、いつも物静かだった。日本人は人間としての美しい価値を持っていると思う。彼も例に漏れず素晴らしい人間性の持ち主だった。レオ(メッシの愛称)も非常に謙虚で、物静かで、自分の世界を持っていた。いつも一緒に練習している選手たち全員のことを友人として扱っていた。本当に素晴らしい人物なんだ」
確かに久保は、年齢に似つかわしくない落ち着きがある。どんなに注目されても自分を見失わず、メディアからの質問にも年上の選手たちと変わらない。そして何より、久保の所作には驕りが一切ない。主張すべきところはしっかりと主張し、必要以上に目立とうとしない。そういったピッチ内外の振る舞いこそ、バブンスキーが『タケ』と『レオ』を重ねた理由かもしれない。
久保はまもなくU-20W杯に出場する。そのこともバブンスキーは知っていた。マケドニアの次世代を担う存在として常に期待されてきた“先輩”は、最後にバルサでプレーしていた世界の舞台に立つ“後輩”へエールを託してくれた。
「タケはとても若くて才能のある選手。だからこそ年上の選手たちとプレーするチャンスを得られたと思う。(U-20W杯では)素晴らしいパフォーマンスを見せて、チームを助け、大きな目標を達成できるよう願っているよ。そして何よりも楽しんで欲しい。バルサではサッカーを心から楽しんでいるように見えたからね。タケが楽しんで、いいプレーを見せられれば、チーム全体がどんどん向上していって、全員が楽しくプレーできるはずさ」
(取材・文:舩木渉)
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