「ピッチ上では違った顔をいくつも持っている」
なぜこれほどしっかり覚えているのか。バルサでは珍しいアジア人だから、一際小柄だったから…いくつか理由を想像したが、バブンスキーから返ってきた答えは違った。「僕がよく覚えているのは彼が今よりも若かった時のプレースタイルだけど、それはまるで小さい時の自分の姿を思い出すようだったからなんだ」と、久保の姿を自身の少年時代に重ねていた。
「正直なところ彼のプレーをずっと見てきたわけではないし、日本でも数試合見ただけ」とは言うものの、バブンスキーはFC東京での久保のプレーもしっかりとチェックしていた。その上で15歳の青年が持つ稀有な才能をしっかりと見抜いている。
「タケはまるでヴァーチャルな世界から出てきたような感じと言ったらいいのかな。ピッチ上では違った顔をいくつも持っている。多くのポジションでプレーできる。FC東京だとトップ下のような場所でプレーしていて、左ウィングも右ウィングも問題なくこなせて、自らゴールに向かっていける。FC東京U-23で決めたゴールは、左サイドからだったよね」
久保はFC東京U-23の一員として出場したJ3リーグ第5節のセレッソ大阪U-23戦の前半38分、左サイドから自らドリブルで仕掛け、相手ディフェンスを振り切り、角度のないところから強烈なシュートをゴールネットに突き刺した。
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