同時期にバルサでプレーした2人
「僕らは彼のことを『タケ』と呼んでいたよ」
そう語るのは横浜F・マリノスに所属するダビド・バブンスキーだ。『タケ』と呼ばれていたのは、FC東京U-18に所属し、U-20日本代表にも招集されている久保建英のこと。2人は同時期にバルセロナが誇る世界最高のカンテラ(育成組織)に所属していた。
バルサのカンテラは、すべての年代が郊外にあるトップチームと同じ練習場でトレーニングに励んでいる。カタルーニャ州外や国外出身の選手たちのための寮も併設されている。ゆえにマケドニア出身のバブンスキーが久保のことを知っているのではないか。そんな軽い気持ちで投げかけた一言からこのやりとりが始まった。
久保がバルサに在籍していたのは2011年から2015年にかけて。バブンスキーは2006年からバルサに所属し、2013年にBチーム昇格を掴み取った。最終的に2016年まで在籍していたため、2人は全く同じ時期に世界最高の育成組織の一員だったことになる。
「僕がバルサにいた時、彼はまだ若かったね。僕が知っているのは9歳か10歳くらいの頃かな」
カテゴリーは違えど、バブンスキーは『タケ』のことをよく覚えていた。久保がバルセロナに入団したのは2011年8月、10歳の頃なので、マケドニア出身の“先輩”が記憶する「9歳か10歳」というのは加入当時のことだろう。
「本当にかわいくて、小柄だったけど、非常に優れた選手でもあった。いつも自分より大きな相手と戦わなければいけなかったにもかかわらず、物ともせずにプレーしていた。テクニックの塊のような選手だったね。同世代の中では突出したボールをコントロールする能力、ドリブル技術、パススキル…ファンタスティックな10番だった」