敏腕ディレクターの堅実補強。経営体力も増大
2010年、経営の立て直しに悩んでいたユーベはマロッタの引き抜きを決めた。そして彼は、サンプで見せた堅実な経営手腕を新天地でも見せた。高額のビッグネームには手は出さず、戦力のバランスを重視して必要な選手を獲得する。その一方で、有能な若手には積極的に投資する。現在DFラインの支柱となっているレオナルド・ボヌッチは、マロッタが就任早々に行なった最初の補強だった。
もちろん大型補強を望むファンからの不満も浴び、最初の頃はメディアも声高に批判した。しかしバランスの取れた戦力を監督に用意し、就任2年目でチームは優勝。獲得した若手は着実に育ち、価値を上げた。
ビダルやレアル・マドリーから一度権利を買ったアルバロ・モラタ、そしてポール・ポグバなどはかなりの売却益をクラブにもたらした。しかも、選手の出入りが多い割に穴は確実に埋まる。カルロス・テベスが帰国した後にはパウロ・ディバラが成長して戦力になったが、これはマロッタが確かなロードマップを描いてチームの強化を考えていた証拠だ。
このようにして経営体力をつけたユーベは、今シーズンには高額の移籍金を積んでゴンザロ・イグアインやミラレム・ピャニッチを買えるまでになった。「2年前のCL決勝では、我われは優勝を目指す準備ができていなかった。しかし今回、チームには自信がついている」とマロッタは地元メディアに語っている。
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