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セリエA 8年前

ユーベ、セリエB降格からの復活劇。低迷の数年間を経て、華々しい再成長もたらした3要因

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ユベントス・スタジアム運用で激増した興行収入

現在のホームスタジアムであるユベントス・スタジアム
現在のホームスタジアムであるユベントス・スタジアム【写真:Getty Images】

 それにしても一度は地に落ちて復活にも手間取ったクラブが、なぜこんなに華々しく、そして安定した再成長を遂げることができたのか。その要因は3つ挙げられる。

 一つは、2011年から運用を開始したユベントス・スタジアムだ。ピッチがスタンドから非常に遠くて客を逃し、無駄に巨大で維持費もかかり、しかもトリノ市所有で好きに改善できないデッレ・アルピに悩まされ続けたユーベにとって、専用スタジアムは絶対的に必要なものだった。

 2002年に99年間にわたるデッレ・アルピの独占管理権を取得していた彼らは、2008年3月に正式に改築を決断。集客数は40000人程度に抑えながら、歓待施設を充実させ、確実に利益の出せる近代的なスタジアムに生まれ変わらせた。

 ユベントス・スタジアムの運用が開始されてから、クラブの収入は大幅に改善。スターディオ・オリンピコを借りていた時代と比べ、入場料をはじめとした施設内での興行収入は実に3倍以上に改善している。むろん、閑古鳥が泣いていたデッレ・アルピの時代とは比べるまでもない。

 もう一つの理由は、中長期的な視野でクラブ経営とチームの強化に筋を通した有能なディレクターがついたこと。それが、現在のGDであるジュセッペ・マロッタその人である。

 19歳の時にヴァレーゼの下部組織の運営責任者となってから、様々なクラブを渡り歩いて経営に携わった実務のプロだ。やがてヴェネツィア、アタランタなどのAクラブを歴任し、2002年から8年間に渡って仕事したサンプドリアではクラブを最高位4位にまで引き上げた。

 強みは若手を中心とした選手の目利きと、クラブ経営収支を圧迫せずに効果的な補強を図るバランス感覚。やや伸び悩んだ選手を再生させて価値を上げ、ビジネスに活かすのもうまい。放蕩の末レアル・マドリーで崩れていたアントニオ・カッサーノを再生させたのは代表例の一つだった。

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