スキャンダルでセリエB降格を経験。幹部陣も退陣
9日、ユベントスは通算で9回目となるUEFAチャンピオンズリーグ決勝進出(前身のチャンピオンズカップ含む)を果たした。2006年のカルチョポリを受けてセリエBに転落し、経営陣が変わってからはこれで2度目となる。
その当時を振り返ると「2度とユーベはトップに返り咲けないのではないか」という悲観的な見方さえされていた。B降格にあたって、彼らは戦力の縮小を余儀なくされた。
ファビオ・カンナバーロを筆頭にジャンルカ・ザンブロッタにエメルソン、リリアン・テュラムにパトリック・ヴィエラ、そして何よりズラタン・イブラヒモビッチと、ビッグネームの多くが他のクラブに引き抜かれた。
しかしそれ以上にクラブの根幹を揺るがしたのは、辣腕を振るってクラブの規模を大きくした幹部が退陣を迫られたことだ。一連の不正行為の主犯格とされたルチアーノ・モッジGD、アントニオ・ジラウド代表取締役は、5年間の活動禁止処分を言い渡される。
容疑の掛からなかったロベルト・ベッテガ副会長も、対外イメージの浄化を希望する親会社の意向もあって要職から退いた。他クラブやリーグに支配的な影響さえ与えていた『トリアデ(三人衆)』が去ったことを、将来的な弱体化の根拠に上げる向きは少なくなかった。
実際、1年でセリエAに復帰した後も数年間はトップには返り咲けなかった。ユベンティーノたちがどこよりも敵視するインテルが絶対的な強さを誇示していた一方、ユベントスの補強には筋が通らず低迷が続く。不満を募らせていたファンの様子は、チームの不振に苛立つ今のインテリスタやミラニスタと通じるものがあった。
しかしユーベの運命は、2011年からガラッと変わった。かつての主将アントニオ・コンテが監督に就任し、チームに攻撃的な戦術と闘志を植え付ける。アンドレア・ピルロやアルトゥーロ・ビダルらの新戦力も加わって3連覇を達成。
2014年にコンテ監督は退団するが、その後は知将マッシミリアーノ・アッレグリがうまくチームを引き継ぎ、ライバルたちの弱体化もあったとはいえ国内で6連覇目前。長期間の低迷すら危惧されたクラブは、イタリアのみならず欧州の強豪の一角にも返り咲いている。