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スポーツ産業過熱もプロ人材不足。東京五輪後見据えた「スポーツMBA」が担う大役

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

スポーツに精通したビジネス人材育成の重要性

オリンピック
いまやオリンピックは巨大なビジネスチャンス。東京はその機会を活かせるだろうか【写真:Getty Images】

ーーMBAは「経営学修士」とも呼ばれ、海外では修士号を取得できるプログラムとして定着しつつあります。一方で「早稲田大学スポーツMBA Essence」では学位は得られません。修了後のゴールとして、どういったことを狙っているのでしょうか。

 我々が狙いを定めたいのは、スポーツでビジネスとしての価値を作るノウハウがなくて困っている人たちです。最近では何十億円も払ってオリンピックのスポンサーになっても、それは同業種の競合他社に先んじて獲得しただけで実際に活用するアイディアを持っていないことが多くあります。ビジネスに強くてもスポーツを知らない人たちに、スポーツが何たるかを教えようというのが狙いのひとつです。

ーースポーツにおけるスポンサーシップは、その価値を高めるため「一業種一社」が原則です。そのため競合他社に負けじとオリンピックのスポンサーになるというのは容易に想像できます。ただ、そこで得た権利をビジネスに変える力が日本企業にはない。

 多種多様な人材が集まってくる「早稲田大学スポーツMBA Essence」に参加することによって、異業種間で新たなビジネス展開が生まれるかもしれません。学んだことは時間が経てば忘れてしまうかもしれませんが、人のつながりは形として残るので、スポーツMBAを通じていいプラットフォームができたらなと思っています。ノンディグリーのプログラムだからこそ、イノベーションの源泉である弱い紐帯(weak ties)と、多様な既存知が絡まったネットワークが誕生することを期待しています。そして最終的にはFIFAマスターのように、OB・OGがサッカー界だけでなく、いろいろな競技団体や企業に散らばっていく、そんな母体になれたらいいですね。

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原田宗彦
早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専門はスポーツマネジメント。京都教育大学教育学部卒業、筑波大学大学院修了、ペンシルベニア州立大学体育・レクリエーション学部博士課程修了。鹿屋体育大学、大阪教育大学を経て2005年より現職。日本スポーツマネジメント学会(JASM)会長、日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)代表理事、Jリーグ理事など多数を務める。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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