日本スポーツ界が抱える課題。少子化の波はすぐそこに
2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで3年となり、スポーツ界では様々な動きが加速している。競技面だけでなく、それらの周囲を取り巻くビジネス面でも大きな転機となる大会に向け、学術界でもこれまでになくスポーツに注目が集まっている。
そのような中、早稲田大学は同校の「スポーツ科学学術院」と「早稲田ビジネススクール」の共同で日本初の本格的なスポーツMBA(Master of Business Administration)プログラム「早稲田大学スポーツMBA Essence」を発足させた。プロフェッショナルな人材の不足が叫ばれるスポーツビジネス界において、起爆剤となることができるのだろうか。
そこで発起人の一人である早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦教授にプログラムの狙いや、スポーツビジネスが直面している課題について話を聞いた。
ーーいよいよ東京オリンピック・パラリンピックまで3年となりました。徐々に準備が進んでいく一方で、課題やネガティブな話題もよく耳にします。五輪はビジネス的な側面も多くはらんでいますが、日本のスポーツ界はどんな課題を抱えているのでしょうか。
私は2020年まではオリンピックマークを掲げてグイグイいくと思っていますが、問題はその後ですよね。オリンピックレガシーなどと言っていながら、本当に残るのか。そこは非常に危惧しています。うまくオリンピックが回れば、余熱でロンドンのように五輪後も伸びていく可能性はあると思っているので、まずは目標を定めて、大会後に向けたものを今から仕込んでおく必要があります。たとえば2023年の女子W杯招致や2026年のアジア大会(名古屋)、そして26年か30年の札幌の冬季オリンピック・パラリンピック招致…そういったものをスポーツ界全体で次々に仕込みながら、目標を常に作っていくべきではないでしょうか。
ーー日本社会全体の問題として少子高齢化が叫ばれています。2018年以降、18歳以下の人口がさらに減ると予想されていることはスポーツ界とも密接に関連する大きな問題なのではないでしょうか。
その心配はしています。数年後には子供の数がいよいよ急降下の時代に入ってきます。とは言いつつもしばらくは1億人以上いますから、大きな国といえば大きな国です。それでも小学校が減れば、中学校が減って、次に高校と…少子化の影響は下の方から徐々に上がってきます。その準備をしていかなければいけないですよね。