他者への言動・行為がもたらす影響についての意識の欠如
Jリーグの規律委員会にとって、ここ数週間は慌ただしい日々が続いている。ピッチ内外での様々な事件がネガティブなニュースとして世間を騒がせてきた。
例えば4月29日には、徳島ヴォルティスの馬渡和彰が、ジェフユナイテッド千葉とのアウェイゲームでボールパーソンへの暴力的行為により退場処分に。その翌日のさいたまダービーでは、大宮アルディージャに0-1の敗戦を喫した浦和レッズの一部サポーターが緩衝帯の柵を蹴るなどの行動に出た。これらは単純に個人の愚かな判断や、馬鹿げた行為にその原因を求めることができる。
だが一方で、より精細かつ慎重な調査を必要とするような問題も存在している。浦和のDF森脇良太をめぐるスキャンダルもその一つだ。他者への言葉や行動がもたらす影響についての意識の欠如を示す出来事であったからだ。
森脇は5月4日に埼玉で行われた試合で、鹿島アントラーズのブラジル人MFレオ・シルバに対して侮辱的な言葉を吐いたとして、鹿島の主将である小笠原満男からの非難を受けていた。火曜日にはその森脇に2試合の出場停止処分が言い渡された。
試合の78分に起きた小競り合いの中で、小笠原は明らかに何かに対して腹を立てた様子で、浦和のGK西川周作に押さえつけられていた。38歳のベテランMFは、試合後にはメディアの前で自ら足を止め、衝突の中で森脇がレオ・シルバに向けて「臭いんだおまえ」と言っていたと主張した。
「試合が終わったあとにレオ・シルバと話したところ、『森脇選手はいつもあのようなことを言ってくる』と言っていました」
「これまでの対戦でも、カイオやダヴィに対しても同じようなことを言っていて、そういうことが繰り返されています。もう限界というか、立派な言葉の暴力ですし、差別と捉えられてもおかしくないと思いますので、報道のみなさんで検証するなりしていただきたいなと思っています」
「今回に限ってではないですし、どう検証していいのか分からないけど、どうしても許せないので。フェアプレーの議論がされていますが、言葉の暴力はあってはならないことだと思います」