前半で事実上決した勝負。モナコに番狂わせ演出させず
そうして活路を封じられたモナコに待っていたのは、変則的なフォーメーションを取っていたが故の残酷な結末だった。ボールを拾ったユーベは、攻撃的になっていたモナコの左サイド裏のスペースを狙い撃ちにしたのだ。
1stレグでもユーベは、ここを攻めて2得点を挙げている。さらにこの日はジャルディム監督が中盤の底の守備をティエムエ・バカヨコに一任していたため、その脇にはより広大なスペースができていた。そこを使ってユーベの攻撃陣はワンタッチでパスを繋ぐと、迷うことなく右のスペースへと振った。その先には、予め分かっていたかのようにアウベスが走り込み、次々にチャンスを作り出した。
33分の先制点は、まさにその集大成といったものだった。CKの守備からGKジャンルイジ・ブッフォンの素早いスローで攻撃をスタートし、あっという間に左を破る。そしてモナコの守備陣がボールサイドに寄ったところで、一気に右へと展開。そこには例によってアウベスが走り込んでおり、クロスが放たれる。これがファーへと走り込んだマリオ・マンジュキッチに通り、ゴールへ繋がった。
左の攻撃に一縷の望みを託すも、ユーベの右を潰すどころか逆にやられてしまったモナコ。42分にはメンディーが強引にアウベスをドリブルで引き剥がし鋭いクロスを放つが、それもゴール前でジョルジョ・キエッリーニに冷静に処理されてしまう。アウベスの豪快なミドルで追加点を決められたのはその2分後のことだった。前半で2ゴール、事実上勝負はここで決した。
相手の変則的な攻撃もピッチ内で守備を修正して処理し、練習で入念に準備した戦術上のプレーを忠実に実行するユーベのチーム力。数々の番狂わせを演出したモナコ相手に間違いを犯さず、カーディフ行きのチケットを勝ち取った秘訣は、そこにあった。
(取材・文:神尾光臣【トリノ】)
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