流れが変わったサウジ、日本との連敗 協会会長からは「恥ずかしい」発言も
実は前監督と協会との不協和音は以前から聞こえていた。昨年末にも、協会が元アルゼンチン代表監督のアレハンドロ・サベーラ氏の招聘を検討していると報じられている。それはAFFスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)でタイが2大会連続の優勝を果たした直後のタイミングだった。
その時は噂の段階で話は立ち消えになったが、協会がキャティサック前監督との契約延長交渉を始めたのは、契約期間が満了した今年2月に入ってからだ。
交渉の過程では、協会から示された契約内容に関してキャティサック前監督側から何らかの変更が希望されたと見られている。そして2月下旬、協会側から当初の契約内容通りでサインしなければ新しい監督を探す旨が突如発表され、設けられた期限最終日の同28日に、ようやくキャティサック前監督が1年契約にサインするに至った。
その後迎えた3月のアジア最終予選は、ホームのサウジアラビア戦(23日)は0-3、アウェイの日本戦(28日)でも0-4と連敗に終わる。厳しい見方をすれば想定通りの結果とも見ることができるが、そうは捉えていなかったようなのが、サッカー協会のソムヨット・プンパンムアン会長だった。
日本戦後の3月30日、前タイ警察長官のソムヨット会長はメディアに「変革の時が来た」と語り、さらに0-3、0-4という結果に対して「私は恥ずかしい」という発言まで飛び出した。後に「(恥ずかしいは)言い過ぎだった」と認めたが、「解任しても違約金はかからない」などの発言は続き、監督更迭が一層現実味を帯びていった。
そして同31日、まず大手スポーツメディアによって「協会は監督を解任へ」と報じられる。すぐさまソムヨット会長らが解任を否定するニュースが流れていったが、その最中に今度はキャティサック前監督が個人のインスタグラム上で辞任を発表するという、何ともちぐはぐな終わり方だった。