ユーベが狙ったサイドバックの裏のスペース
「とにかく僕たちは、相手に奥行きを取らせないように気をつけた」とDFジョルジョ・キエッリーニは試合後に語った。それでもモナコの攻撃陣は強引にクロスを上げてくるのだが、それも十分想定内だったようだ。シュートを打たせても精度の低い外からか、GK正面に留めており、クロスもフリーで反応させることは許さなかった。むろんモナコはそれでも強引に攻めて、前述のようにムバッペがビッグチャンスを作ってくるのだが、立ちはだかるのはあのブッフォンだ。
「準決勝まできた相手だから、さすがに全ての時間で抑え切るというわけにはいかなかったよ。けれど、おおむね試合はコントロールできていたと思う」とキエッリーニはミックスゾーンで笑みを浮かべていた。
一方攻撃では、モナコの戦術上の弱点を容赦なく突いた。プレビューでも書かせていただいたが、サイドバックの裏をはじめとした後方のスペースだ。
攻撃型のサイドバックを置くチームの宿命ではあるのだが、彼らの後ろは疎かになる。しかしながら、他の選手がスライドしてカバーをするような決め事もない。従ってサイドにボールが出れば、右ではダニ・アウベスがあっさりと裏を取り、左ではアレックス・サンドロがノーマークでオーバーラップするような状況ができあがっていた。
それを誘発するためのゲームメイクもまたいやらしかった。後方でボールを回し、相手がボールを取りに向かってきたところで素早くサイドの裏へ放り込む。しかもそれで終わらず、右から左、左から右にサイドチェンジを入れて、相手陣形を両翼から揺さぶったのだ。