2度目の布陣変更でトドメ。L・バスケスの高速カウンター炸裂
ジダン監督は序盤からマルセロに攻撃参加させてリュカの能力を見極めていた。そして左利きのアセンシオを投入して畳み掛けようと考えたわけである。その結果、73分にアセンシオのクロスがC・ロナウドの2点目のきっかけとなった。
2度目の布陣変更は78分にカリム・ベンゼマとの交代でルカス・バスケスが投入されたタイミングだった。4-3-3の並びに変更はなかったが、C・ロナウドをストライカーの位置に戻し、運動量豊富で攻守に無理がきくL・バスケスを右サイドに配置する。
そして86分、カウンターからC・ロナウドの3点目が生まれる。マドリーは自陣からカウンターを仕掛けると、最後はルカス・バスケスの折り返しを背番号7が押し込んだ。
この場面、8分前にピッチに入ったばかりで元気いっぱいのL・バスケスは、自陣でドリブルを始め、一度C・ロナウドに渡して再びボールを受け、ラストパスを出すまで70mほど全力疾走でピッチを駆け抜けた。マークについたディエゴ・ゴディンも一瞬で振り切られてしまった。
アトレティコが万全でなかったとはいえ、試合開始から終了までマドリーの狙いが全てうまくはまったと言えるかもしれない。ジダン監督の選手起用、配置、布陣変更、戦術プラン…あらゆる要素が噛み合って実現した3-0完勝だった。
ハットトリックを達成したC・ロナウドの功績は賞賛されるべきだが、それ以上にチーム全体の完成度と選手たちの献身、指揮官の采配といった周辺の様々な要素があってこその3ゴールだったことを忘れてはならない。
(文:舩木渉)
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