見慣れないレアルの2トップ。ジダン監督の狙いは
レアル・マドリーは強かった。とにかく強かった。
現地時間2日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグ、本拠地サンティアゴ・ベルナベウにアトレティコ・マドリーを迎えたレアル・マドリーは、3-0で勝利。まさに言うことなしの完勝だった。
今季3度目のマドリード・ダービーは、ただのダービーマッチ以上の意味を持っていた。4年で3度目のCLベスト4以上での対戦のみならず、2ndレグは来季からホームスタジアム移転が決まっているアトレティコの本拠地ビセンテ・カルデロンでの最後のゲーム。
マドリーから見れば、史上初のCL連覇を成し遂げるために決勝進出を確実なものにしたい試合で、1stレグをホームで戦えるアドバンテージがあった。故に両チームの本気度は普段の試合とは比べ物にならないほどだっただろう。
ガレス・ベイルを負傷で欠いたマドリーだったが、その不在を感じさせないパフォーマンスを見せた。特にジネディーヌ・ジダン監督の状況に応じた的確な采配が光る。これまで活躍の場を与えられてこなかったイスコを先発起用してトップ下に据え、クリスティアーノ・ロナウドとカリム・ベンゼマの2トップを採用した。
前線の“BBC”に象徴されるように4-3-3が代名詞になりつつあったマドリーにおいて、トップ下を置く4-3-1-2は斬新ではあったが、昨今の戦い方を見ればより効率的な布陣であることがわかる。3トップの場合左ウィングで起用されてきたC・ロナウドは、年々ゴール感覚が研ぎ澄まされる一方で運動量は下降気味にあり、攻撃から守備への切り替えの局面で前線に攻め残る傾向がある。
また、攻撃時も左サイドに張るよりも最前線のゴールに近い位置でボールを受けたがり、以前よりも純粋なストライカーに近いスタイルへと変化してきていた。つまり最初から2トップで前線に据えておけば、余計なエネルギーを使わずゴールを奪うことに集中できるという判断である。