鍵となる初戦、久保どう使う? トップでもサイドでも活きる幅広い特性
久保もこの1年間で7センチ身長が伸び、体格的にも大人のフットボーラーに近づいているが、20歳時点で体型が完成しているアフリカ系の選手に真っ向勝負を挑んだら潰される可能性が高い。
それは2日前のJ3で「まだスピードやフィジカルのところではこっちに分があるから、力で行ってしまえるところはある」と明神が語っていた通りだ。そのマイナス面を踏まえると、初戦は切り札的に位置づけられるのではないか。
小川と岩崎悠人(京都)というチーム発足時から軸を担ってきた2トップに対する内山監督の信頼が高いことを考えても、彼らが先発し、相手が疲れて間延びしてきた段階で、変化をつけられる久保を投入するのが「ベストな勝ちパターン」になるはずだ。
久保が岩崎と代わって2トップに陣取るのか、三好康児(川崎)らと代わって2列目に入るのかは今後の動向次第だが、前でもサイドでもプレーできる15歳のアタッカーが攻撃にバリエーションをもたらせるのは間違いない。
久保本人も「サイズが小さい分、敏捷性は自分の方があるかなと考えている」とコメントしており、相手の動きが鈍ってきた状況ではより特性を発揮しやすい。バルセロナの下部組織でプレーしていた時から「小柄な自分が何をすべきか」をつねに考え、解決策を模索してきた。高度な国際経験値は大舞台を戦う上で非常に大きなプラス要素になるだろう。
その状況下でゴールを決めれば、本人も勢いに乗るに違いない。実際、昨年9月のAFC・U-16選手権(インド)の初戦・ベトナム戦でも直接FKからいきなり先制点を奪っているが、彼のここ一番の決定力は凄まじいものがある。その再現を世界舞台でも見せてほしい。
初戦さえモノにできれば、内山監督もウルグアイ、イタリア戦での起用法を柔軟に変化させられる。昨年のアジア最終予選でも準決勝・ベトナム戦でスタメンを10人入れ替えるという大胆さを持ち合わせている指揮官ならば、2戦目以降に久保を先発に抜擢することも十分に考えられるのだ。
相手の特徴、味方の組み合わせとの兼ね合いにはなるものの、小川と久保と2トップに並べるのも有効であり、小川と堂安を最前線に置いて久保を右サイドで使うプランもあり得る。3トップや1トップ2シャドー的な配置でも久保は必ずや自らの生きる道を見出せるはず。そうやって彼の可能性を最大限活かすことが、日本の躍進につながると言っていい。
実は過去の日本代表ではこのようなケース、成功例は多々ある。