試合中は「旗」に気づかず。終了直後に水原サポーターが乱入
だが、この時はスタッフの慌てぶりが印象に残っただけで、特に問題が起きていたとは思わなかった。のちに大きな問題になった旭日旗に関して、「実際にその旗がいつ出されていたか、前の方にいた自分たちは一切知らなかった。アウェイ側ゴール裏全域が開放されていて、旗を出した人たちは少し離れた上の方に座っていたみたいです。そこで何か出されていたとしたら、中心で応援していた人たちは何も知らなかったと思います」と、A氏は語った。
問題となった旗は試合中に没収され、掲出した2人も両クラブから事情聴取を受けていたことがわかっている。だが、A氏によれば「(旗を没収されたのは)見ていない」といい、ピッチ方向を見ていたスタンド前方のフロンターレサポーターの多くは何が起こったのか試合後しばらく経つまで知らなかった。
フロンターレサポーターを巻き込んだ大きな事件は、試合終了直後に起きた。A氏はその時の様子を次のように振り返る。
「試合が終わって、突然背後から怒号が聞こえてきて、何だろうと思って振り向いたら水原のサポーターと思われる人たちがスタンドの中央付近まで来ていたんです。最初は5、6人の男性が来て、気がついたら野次馬のように上の方から見ている人もたくさんいました。
真ん中で最初に揉めていたのは5、6人で、韓国語で吠えていました。何を言っているのかはわからないですが、一方的にまくしたてられる感じで。こちらは何があったのか知らないので、全く意味がわからず、負けた腹いせに殴り込まれたのかと思いました。フロンターレサポーターのみんなの頭上に『?』が浮かんでいる感じで、気づいたら警備員ともみ合いになっていて…」
水原サポーターと見られる男たちが、本来は入れないはずのアウェイ側スタンドにやってきたのは、ちょうど試合を終えたフロンターレの選手たちがサポーターに挨拶をしに来たタイミングだった。
「選手たちは口をポカーンと開けて見ている感じでした。(中村)憲剛とかが『やめろー!落ち着けよー!』ってピッチから叫んでいて。選手たちも危ないからと挨拶だけしてさっさと引き上げていきました」