水原対フロンターレで何があったのか
先月25日、韓国・水原でアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ第5節、水原三星ブルーウィングス対川崎フロンターレが行われた。
この試合はピッチ外の出来事が原因で、のちに大きな議論を巻き起こすことになる。アウェイ側のスタンドで「旭日旗」が掲げられ、翌々日にはアジアサッカー連盟(AFC)からフロンターレへの処分が検討されると発表された。
さらに試合終了直後、水原サポーターがアウェイ側スタンドに乱入してきたことも報告されている。ただ、それらの出来事は因果関係が曖昧に伝えられ、フロンターレへの処分の可能性もあいまって一方的にどちらが悪い、といった伝えられ方になってしまっているのが現状だ。
そこで本稿では現場にいたフロンターレサポーターA氏(匿名)に協力を仰ぎ、水原ワールドカップスタジアムであの日、何があったのかを記録していく。
試合当日、フロンターレのサポーターがスタジアムに集まり始めたのは開始のおよそ3時間前、16時頃だった。というのも、水原戦の前売りチケットをインターネット経由で抑えるには韓国のIDが必要で、日本から応援に行くサポーターに対しクラブから事前に当日券を買うようアナウンスがあったとのことだった。
当日券の販売開始がキックオフの3時間前で、それに合わせてサポーターが集まってきた。そしてキックオフ2時間前の17時に開門と同時に数十人がスタジアムへ入り、試合開始までは特に何も事件はなかったという。韓国まで応援に駆けつけたフロンターレサポーターは個人手配とツアーを全て合わせて5、60人ほどだったようだ。
試合が開始してすぐ、A氏は異変に気付いた。
「前半が始まってすぐくらいだったと思いますが、サポーターについていたうちの運営担当スタッフが呼ばれて、水原のスタッフがフロンターレ側のスタンドを指差しながら、ベンチの方向から血相変えて走ってきたんです」