「年齢に関係なく一番危険な選手だと感じた」
4月30日に長野Uスタジアムで行われた2017年J3第6節・AC長野パルセイロ対FC東京U-23戦。青赤軍団の背番号41・15歳の久保建英にとって、この相手は昨年11月5日にJ3デビューを果たした記念すべきチームだった。
中学3年生だった昨季はJ3のラスト3戦に途中出場するにとどまったが、高校1年生になった今季はここまで6戦中5戦にフル出場。今回は5月3日のJリーグルヴァンカップ・コンサドーレ札幌戦でのトップデビューが控えているため、温存されるのではないかという見方もあったが、先輩FWユ・インスとともに堂々とスタメン2トップに陣取った。
「意識するなと言われても、これだけ注目されたら、みんな意識してしまう。でもスカウティングしても、年齢に関係なく一番危険な選手だと感じた」と長野のキャプテンマークを巻いた39歳の元日本代表・明神智和が言うように、15歳の少年に対する相手の警戒は凄まじいものがあった。
前半の長野は久保がボールを持つたび2人3人でプレスに行き、動きを封じようとする。レフティである彼の左足には特に強い意識を見せ、明神も意図的に左側に回って何度かボールを奪っていた。このため、前半の久保はシュートゼロ。FC東京U-23自体も右サイドバック・柳貴博が前半12分に放ったシュート1本のみにとどまる苦戦を強いられた。
0-0で折り返した後半、FC東京U-23は徐々にギアを上げていく。久保自身も「前半はマークが厳しくて、ちょっと押され気味だったけど、相手が前半あれだけマークに来てたら後半は落ちてくるだろうと考えていた」と後半勝負という狙いを持っていた。
卓越した戦術眼と大胆さが前面に表れたのが、後半開始2分の自身初シュートの場面。右の柳からのパスを受けた背番号41はペナルティエリア内でDFをかわして右足を一閃。あえて利き足でない方でフィニッシュに持ち込もうとした。ボールは惜しくも枠をそれたが、長野守備陣をヒヤリとさせるには十分だった。