旭日旗が川崎フロンターレのサポーターによって掲げられた(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
アジアサッカー連盟(AFC)は27日、アウェイで行われたACLの水原三星戦(25日)で川崎フロンターレの一部サポーターが旭日旗を掲げた一件で同クラブに処分を下すことを発表した。
声明では「規約58条において、差別に近い違反があった」とされているが、具体的な処分内容は明かされていない。
2017年度版の「AFC 懲戒及び倫理規定」を参照すると、川崎FにはAFC主管試合において2試合の無観客試合および1万5000ドル(約167万円)の罰金処分、旭日旗を掲げた当該人物には2年間のスタジアム入場禁止が言い渡される可能性がある。
川崎Fに2試合の無観客試合の処分が下された場合、5月9日に行われるグループステージ第6節イースタン戦に加え、決勝トーナメントに進出すれば1回戦のホーム戦、グループステージ敗退となれば次回のAFC主管試合で最初のホーム戦がその対象となる。
では、ホームだった水原側に管理責任はなかったのだろうか。過去に、処分内容が180度覆った事例がある。
2014年10月、欧州選手権(EURO)2016予選のセルビア対アルバニアの試合中、アルバニア代表のサポーターが「大アルバニア主義」と書かれた横断幕を掲げたドローンが乱入。選手とファンがピッチに入り混じる乱闘騒ぎが起き、試合は中止となった。
欧州サッカー連盟(UEFA)の倫理・規律委員会は当初、この試合を没収試合とし、「3-0でセルビアの勝利」という判定を下したうえで、セルビアから勝ち点3の剥奪、EURO予選ホーム2試合の無観客試合、両国への10万ユーロ(約1300万円)の罰金処分を科した。
その後、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てが行われた結果、CASは試合の運営責任はホームのセルビアにあるとして試合は「3-0でアルバニアの勝利」という正反対の判定が下された。(罰金は両国に10万ユーロで変わらず)
過去の判例を見れば、川崎Fに無観客試合の処分が下された場合でもCASに異議申し立てを行えば処分が軽減される可能性はある。旭日旗をスタジアムに持ち込んだことによる川崎Fの責任は問われるが、水原サポーターが川崎F側の観客席に乗り込んできたこと、旭日旗の持ち込みを防げなかったことによる水原側の運営責任もある。
国際サッカー連盟(FIFA)も、「試合主催者は、地元警察と連携しながらスタジアムやその近辺でサポーターが挑発や攻撃的行為を行わないようにしなければならない」と定めている。
なお、本記事掲載時点では川崎FやJリーグからの公式声明はない。
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