大量リードも手綱を緩めなかった浦和レッズ
気がつけば、相手ゴールへ向けて猛然とダッシュしていた。カウンターを仕掛けるFWラファエル・シルバへ、左手を前方へ突き出してパスを要求しながら、浦和レッズのFW興梠慎三はゴールに至る絵を鮮明に描いていた。
「6点目だから別に、という感じだけど。でも、あれが理想。常に2人で崩せるように、声をかけているので。ああいうシーンをもっと多く作れれば、もっと相手の脅威になるのかなと」
ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC(オーストラリア)を埼玉スタジアムに迎えた、ACLグループリーグ第5節。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるレッズは、MF関根貴大、FWズラタン、MF李忠成がゴールを決めた前半で勝負を決めていた。
それでも、手綱を緩める気配はない。後半に入ると、途中出場のラファエル・シルバが2ゴールを追加する。そして、4分間が表示されたアディショナルタイムが終わりにさしかかったときに、自陣からカウンターが発動された。
相手の攻撃をはね返し、こぼれ球をMF青木拓矢が右前方へ蹴り出す。右タッチライン際にいた李忠成がワンタッチで自陣の中央へ折り返し、ラファエル・シルバが相手選手2人と交錯しながら巧みに前を向いた瞬間に、冒頭のシーンが訪れる。
左側の興梠を先頭に、中央をラファエル・シルバ、そして右側を李忠成が一気に駆けあがる。相手のペナルティーエリアが見えてきたところで左手を前方へ突き出した興梠は、パスを要求すると同時に、自分の前に広がるスペースへ走ってくれとラファエル・シルバに要求していた。