川崎には韓国人選手も所属。サッカーでは過剰なナショナリズムはプラスにならない
今回のACLで川崎サポーターが旭日旗を掲出したのは、どうやら川崎のサポーターグループではなく、個人がやってしまったことのようだ。すでにサポーターグループでは旭日旗が国際試合では禁止されているということはおおよそ理解されてきており、クラブからの指導にも従っている。
ところが、このような個人のサポーターについては、現場レベルでの指導ではどうにもならない。おそらく、ゴール裏のサポーターグループの席でこれを出したら、グループから注意が入って取りやめさせることになったのではないかと筆者は想像する。なお、前述した2013年の東アジアカップでの旭日旗もグループに所属しない個人が、グループの位置から離れた場所で掲出したものである。
おそらくこの旭日旗を掲出したサポーターも、そんなに大きな問題になるとは思ってはいなかっただろう。なぜなら、普段Jリーグのゴール裏では見慣れたものだったからだ。事前にサポーターに対して、旭日旗が対戦相手国によっては問題になるということを周知しなかった川崎フロンターレの責任もあるだろうが、そもそもは普段の試合で旭日旗が野放しになっていることに遠因があると筆者は思えて仕方ないのだがどうだろうか。
さて、このような騒動がありながら、川崎フロンターレはアウェイで1-0の勝利をおさめた。
接戦の末のアディショナルタイムに絶体絶命のピンチを救った勝利の立役者は、韓国出身のGKチョン・ソンリョンである。もはやクラブチームのワールドサッカーでは国籍は超越し、クラブというそれぞれの仲間のために戦うのが当たり前の話である。果たして、そのチョン・ソンリョンに対して旭日旗は応援の意味があっただろうか。彼は旭日旗についてどう思っているだろうか。答えはチョン選手に聞くまでもなかろう。
これは韓国人選手にだけいえることではない。過剰なナショナリズムをぶつけてそれでよしとする時代錯誤な風習は、少なくともサッカーの世界にとって、マイナスにはなれど決してプラスにはならない。筆者は、このまま旭日旗の取り扱いを日本サッカー界が玉虫色で扱った末には、必ず大きなトラブルになる日がくると思えてならない。