「挑発的行為の禁止」。日本側の主張は関係ない
ようするに、日本の軍国主義を象徴すると東アジアではみなされる旭日旗は、この「攻撃的、挑発的な内容を含んだ横断幕や旗」に該当し、それにより禁止されるのである。なお、今回の水原対川崎戦はFIFAの下部組織であるAFCの管轄の試合となっているが、その規約(http://www.the-afc.com/uploads/afc/files/afc_safety_a_security_regulations_2017.pdf ※PDF注意)の第38条「挑発的・差別的行為の禁止」にもほぼ同様の規定がある。
旭日旗は「国際的に認められた旗」で「軍事的なシンボルではない」ので問題はないはずだという主張もみられるが、この意見が妥当かどうかは関係なく、それ以前に相手に対する挑発的行為ということになるわけだ。
ここでは深くは踏み入らないことにするが、韓国や中国といった国々では、この旭日旗を軍国主義の象徴とみなしていることはもはや説明の必要もないだろう。筆者は多くの韓国や中国のサッカーサポーターに、サッカースタジアムに旭日旗があることをどう思うかという質問をしてきたが、そのどれもが「ありえない」「その質問自体も失礼である」というような回答だったことだけをここでは書いておこう。このような相手に旭日旗を出すことは「挑発」以外の何物でもないわけである。
このため、Jリーグのクラブチームや日本代表では、中国や韓国といった東アジアの国との国際試合に関しては比較的厳格な措置をとっていて、例えば事前にスタジアム入場時の荷物検査を行ってもいる(これもFIFAの安全規定で定められたものでもある)。
実際に、日本代表戦などでは何人もが荷物検査や試合開始前の段階で、旭日旗を没収されているケースもある。また、ACLのような試合でもクラブが直接サポーターグループなどに指導しているケースもある。いらぬトラブルを防ぐためにも賢明な措置であろう。
例えば、川崎フロンターレも対中国の試合では、過去に旭日旗は禁止されているということを公式サイトで明確に注意を促していた。これは事前の中国の公安(警察)からの指導に従ったものであろうが、こちらも未然防止には効果的だったろう。なお、今回の韓国アウェイの試合ではそのような注意喚起は見当たらなかった(公式サイト上では触れていない)。