「いかに失点シーンに絡めるかが、いい選手になれる条件のひとつ」
――徳島ヴォルティス、大宮アルディージャ、アビスパ福岡に計5年間のレンタル移籍を経て、2012年ガンバ大阪に復帰。これまでの経験を糧に、いよいよ実りの季節を迎えます。
「自分が経験したこと、頭で考えてきたこと、すべての歯車がガシャンと合った感じ。良いことも悪いことも全部含めて。僕はそれらをはっきりと憶えてるんですよ。忘れることがない。
失点に絡んだ事実は、試合中は忘れなければダメですけど、試合後は自分の中に留めておかなければいけない。分析し、なぜ防げなかったのか原因を突き止めないと、また同じミスを繰り返す」
――経験を血肉化させる仕上げの作業。
「若いセンターバックやゴールキーパーが難しいとされるのは、やはりそこの問題なんですね。逆説的に言えば、いかに失点シーンに絡めるかが、いい選手になれる条件のひとつということ。
場数を踏んだ経験豊富な選手ほど、相手の攻撃を防ぐバリエーションを多く持てる。より適切な解決方法を探し当てられる。守備の選手が年齢を重ねるにつれて安定度が増し、チームを助けられるようになるのはそういうこと。分析をして、自分の中に取り込まないといい選手にはなれない」
――試合後は映像をじっくり見る?
「サッカーしか見ないですからね。それか子どもと一緒に見る教育番組」
――ストイック。
「好きなだけです。ストイックとは思わない。僕は遠征先のホテルで、テレビのリモコンを持ったことが一度もない。iPadでJリーグや海外の試合を見てる。あとは、たまに映画は見るか」
――2011シーズン、ボコボコにされてJ2に降格した福岡のときも?
「当然。自分が最大限の努力をして起こったことは確実にプラスになる。僕の場合は、アプローチをやり切った自負があるから、結果が出なかったとしても選択に後悔はない。福岡には4年弱お世話になって、途中、ガンバに帰る選択肢があるにはあったんですが、そのとき僕は残ることを選んだ。考えた末だったんで、選び取った道に悔いはないです」