桁外れだったメッシ。DFの死角を見通す眼
バルサもレアルに圧倒されていたわけではない。メッシを中心に殴られれば殴り返す。そのうち本当にマルセロの肘に殴られてメッシは流血するのだが、スーパースターというのは、こういうことがあるとかえって調子が上がるものだ。
メッシからブスケツ、ラキティッチを経由してメッシへボールが戻ってくると、2人をかわして冷静に同点ゴール。仕掛けのパス1本から、ズラしてズラしてメッシを前向きに使うパスワークはバルサらしかった。
バルサのGKからのビルドアップに対して、レアルはあえてGKにボールを持たせる。周辺を完全に抑えてテア・シュテーゲンにロングキックを選択させれば空中戦でカットできるという読みだ。
それで何度か上手くいっていたのだが、40分に中盤でメッシが競り勝ったのをきっかけにシュートまで持っていかれ、次から慌ててベンゼマがテア・シュテーゲンへプレスするようになった。ショートパスが全部抑えられたとき、バルサはロングボールをメッシへ蹴る。しょうがないときの避難所なのだが、意外とメッシはヘディングも強い。
後半の立ち上がりはしばらくレアルの攻勢が続く。マルセロのクロスからのベンゼマが至近距離から放ったヘディングシュートをテア・シュテーゲンがスーパーセーブ。レアルのケイラー・ナバスも素晴らしいプレーぶりだったが、どちらもシュートが凄いのでGKの能力の高さも遺憾なく発揮される。
58分のメッシからスアレスへのスルーパスは舌を巻いた。2人のDFに挟まれながら走るスアレスの足下へ、何ともいえないスピードのパスがピタリ。スアレスを見ていたら、このパスは出ない。メッシには、背中を向けて走っているDFがボールに反応できないことがわかっている。カカトすれすれでも通る。だから、一瞬タイミングが遅いようにもみえて確実に届けている。扉は閉まりきらないと知っていた。