攻めて勝つプライド。伝統の一戦ではこれが正調
序盤から攻め合いだった。守備のリスクを最小限にして攻めるのが大一番の定石かもしれないが、どちらチームも得点して勝利することを目指していた。長いクラシコの歴史ではこれが正調だ。
ジョゼ・モウリーニョ監督のころのレアルは、あの手この手でバルサの攻撃力を削ぎ落とそうとした時期があったが、あれはむしろ例外。元バルサのコーチだっただけに、モウリーニョは分が悪いとわかっていたのだろう。カルロ・アンチェロッティ監督のときにも“アトレティコ・マドリー”になる作戦で成功したことがある。
いざとなったら臆面もなく勝利をもぎとりにかかるのはレアルの伝統でもあるが、今回のジネディーヌ・ジダン監督は真正面から受けて立った。勝ち点3のリードと未消化の1試合という余裕のせいかもしれない。
バルサにはもともと策がない。攻撃で驚かせることはできても、守備で何かできるようにはできていない。3ポイント差を詰めるべく勝利しかないという事情もあった。
レアルは、一部ファンやメディアから「やめておけ」と不評のBBCを並べた。ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ(ロナウド)はこのクラブの在り方の象徴だが、この3人を並べると守れないことはなはだしい。
クラシコではそれなりに頑張るけれども、ボールを支配されたらいかにも心細い。ジダン監督のBBC起用はホームだからということと、もはやバルサにボールポゼッションで負ける気がしないからだろう。実際、レアルは立ち上がりから何度もバルサのゴールへ迫っている。
6分にはバルサのハイプレスを難なく外してカウンター、ロナウドのシュートへつなげる。この時間帯でプレスが効かないなら打ち合い必至だ。20分にはロナウドが左からカットインして右足のシュート。
ピケを外しざまのコンパクトな振り、インスイングでグッと沈む軌道がファーポストを襲っている(テア・シュテーゲンがセーブ)。22分、後方からのロングパスをベイルがダイレクトシュート。当たりが少し弱かったが、ほぼ真後ろからのボールを叩いている。
カゼミーロの先制点につながったセルヒオ・ラモスのポストへ当たったシュートも見事だった。マルセロのハイクロスをファーサイドで右足のボレーで合わせたのだが、ボールを斜めに切るようなダウンスイングでシュートを抑えていた。