噂されるレアル・マドリー行きは?
ムバッペのポテンシャルについては、「その判断基準となるのはゴール前でどのような動きができるかという点になるが、ムバッペはエリア内での決定力が素晴らしく高い。すなわちそれは優れたストライカーの素質がある証だ」と評価する。
夏のメルカート時には、間違いなく多数のオファーがモナコの会長のテーブルの上に積まれることだろう。しかしこのタイミングでの移籍は危険だとガベ記者は言う。
「ポテンシャルはある。しかし、それを決定づけるには、最低3年、同程度のパフォーマンスを維持することが必要だ。そのためにも彼は来季もモナコに止まることが最善だと感じる。
マルシャル(マンチェスター・ユナイテッド)、コマン(バイエルン)など、性急に海外のビッグクラブに移籍した選手はその後それほど開花しているわけではない。
ムバッペにとって理想的なシナリオは、あと一年モナコでプレーし、来年のW杯で活躍し、そこでの自信を携えてビッグクラブに羽ばたくことだ。モナコがどのようなプランでいるかにもよるが……」
レアル・マドリーが熱い視線を注いでいると言われているが、スペイン語を勉強中というところを見ると、ムバッペ本人にもその希望が? と思えなくもない。ただ彼ほどしっかりした若者なら、焦って大海に飛び出して行こうとは思わないのではないか。
モナコにはリーグ優勝とCL優勝の可能性が残っている。ここに残ったとしても、来季が退屈なシーズンになることはない。育成手腕に優れたジャルディム監督のもとでさらに1年研鑽するのはむしろプラスになるはずだ。
ムバッペはフランスでジネディーヌ・ジダン以来の超スーパースターになるだろうか?とガベ記者に尋ねると、「このまま順調に成長すればその可能性は十分にある。彼はそれほどの逸材だ。しかしこれくらいの年齢は微妙だ。ここからの2、3年が真価を見極める時期になるだろう」と慎重に結んだ。
左SBメンディや攻撃的MFルマール、ボランチのバカヨコら、生きのいい選手がそろう今のモナコは最高にエキサイティングだ。このうちの何人が来季もモナコに残るかはわからないが、彼らのプレーが今季限りというのはあまりにも惜しい。ムバッペには来季もモナコに残って、フランスリーグを盛り上げてもらいたい。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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