ドルトムントが見せた地力の差。自信を胸にバイエルン戦へ
優勢とも劣勢ともつかない試合展開の中、前半の終了間際と後半の開始早々にドルトムントは立て続けに失点。逆転を許した。
44分、ミケル・メリーノのミスパスを奪ったアンドレ・ハーンがダイレクトで繋ぎ、ラース・シュティンドルに左足で悠々と決められる。48分、オスカル・ヴェントの右からのグラウンダーのクロスに、シュティンドルの前でマルセル・シュメルツァーが触ってゴールに押し込んでしまう。
どちらも不用意な失点であり、避けることはできただろう。しかしアウェイでモナコと戦ってから中2日しかなかったのも事実だ。CL準々決勝というタフな試合を戦い抜いた後で、ブンデスリーガの試合で何食わぬ顔でプレーするのは難しい。
シーズンも終わりに差し掛かり、疲労も溜まりに溜まってくる状況では、なおのことだ。同様に敵地でレアル・マドリーと死闘を演じたバイエルン・ミュンヘンは、ホームにも関わらずマインツと2-2で引き分けた。ドルトムントもこのまま勝ち点3を逃したとしても、何ら不思議ではなかった。
しかし、この日のドルトムントは違った。59分、デンベレのスルーパスに抜け出したオーバメヤンが、GKヤン・ゾマーをかわして左足で流し込む。試合を振り出しに戻した。さらに87分、ゴンサロ・カストロのFKをラファエウ・ゲレイロがヘディングで押し込む。逆転に成功した。そのまま試合終了。ドルトムントは3-2でボルシアMGを下した。そしてホッフェンハイムを上回り、3位に浮上する。
シーソーゲームを制したことに、この日は出番のなかった香川も、手応えを感じた。
「自分たちのミスからっていうのが出てしまったけど、そのあとしっかり逆転したっていうのはすごく、チームに勢いと自信を与えてくれたと思いますね」
26日のDFBポカール準決勝を前に、連敗を避けることができたのはもちろん、逆転で勝ち切ったことは大きいのではないか。「勢いと自信」を持ってバイエルン戦に臨むことができる。例え一発勝負のカップ戦でリードを許しても、ポジティブなメンタルは簡単には失われないだろう。
ドルトムントが“地力”を示した、ボルシアMG戦だった。
(取材・文:本田千尋【メンヒェングラッドバッハ】)
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