再びピサの監督に就任。セリエB残留に向け奮闘中
ところが今度は、会長のファビオ・ペトローニが経営していた関連会社に計画倒産の疑いがかかり、会長自身は在宅起訴となりクラブ経営がストップ。ガットゥーゾは一度辞任するが、選手の離脱者が相次ぎ後任に入った監督も辞任。さらには経営の機能停止で運転資金の捻出までままならなくなり、見かねたガットゥーゾは監督へと復帰した。
そこからもなおペトローニ会長が頑として身売り交渉を拒否するなど混乱は続くのだが、ようやく昨年12月に経営は無事譲渡された。
だがやはり、クラブの資金繰りは以前苦しいままだ。ガットゥーゾは1月にペスカーラにいたレイ・マナイをはじめ、直接コンタクトを取って呼びせるなど影でも奮闘。「あんなに大変な数ヶ月間を過ごしたことを考えれば、今我々が戦えてることも競技上の奇跡だ」と彼は語る。
元レジェンドだからといって、指導者に転身してもすぐに成功のレールが敷かれるとは限らない。インザーギもガットゥーゾも、他の監督と同様に下積みをしているところだ。そして彼らは、それぞれの環境に心からリスペクトを置いて仕事をしている。
それぞれにプロとして節制を積み、頂点に上り詰めた現役時代の姿を思い起こせば、取るべくして取った進路であるようにも思えるのだ。
(文:神尾光臣【ミラノ】)
【了】