極めて普通の布陣が対戦相手にとって“落とし穴”に
今季のモナコはヨーロッパ最高クラスの得点力を誇る。ドルトムント戦の2試合でも6ゴールを叩き込んだ。だが、モナコが最高の攻撃力を持っているかというと少し違う気もする。確かにファルカオ、キリアン・ムバッペ、ベルナルド・シウバ、トマ・ルマルのアタックラインは強力だが、後方からのビルドアップ能力はCL出場クラブとしてはかなり低い。ビルドアップの覚束なさはレスターと大して変わらないぐらいだ。
モナコの爆発的な得点力はカウンターアタックによってもたらされており、特にボランチのティエムエ・バカヨコ、ファビーニョのボール奪取能力に依るところが大きい。長身でリーチの長いこのコンビは、体を寄せればほぼボールを奪える。攻撃開始地点が高いのでカウンターの効率がいい。
では守備力抜群かというと、それもそうでもない。ドルトムントのビルドアップを組織で巧みに制限するなど、よく練られてはいるが、特殊な守備戦術を用いているわけでもない。極めて普通の4-4-2である。そして、それこそが相手チームにとっての落とし穴なのではないだろうか。
モナコの守備が普通なので普通に攻め込むと、ボランチの守備力が普通ではない。奪われて「あっ」と気づいたときには手遅れ。モナコのカウンターが発動する。ジブリル・シディベ、バンジャマン・メンディらSBのサポートも速い。4-4-2の攻撃でSBがサイドアタックに加わるのは普通だが、モナコのSBはかなり足が速く、攻撃から守備へ切り替える時点で遅れるとたいてい取り返しがつかないことになってしまうのだ。