リーグ戦での低迷とは対照的に欧州の舞台では躍動
だがレスターは、昨季国内で見せた旋風を、今度は欧州のビッグトーナメントで巻き起こしてみせた。グループステージでは、敵地で行われた初戦でクラブ・ブルージュを3-0で一蹴すると勢いに乗り、終わってみれば4勝1分1敗の1位通過。リーグ戦での低迷をまるで感じさせない戦いぶりを演じ、躍動した。
そんなクラブを追いかけるサポーターたちは、ブルージュで、そして極寒のコペンハーゲンでも、自分たちに夢を与え続けてくれる、愛すべき“フォックシーズ(レスターの愛称=フォックス、キツネの複数系)”を狂ったように応援し続けた。残念ながら筆者はポルト戦とセビリア戦の取材には行っていないが、これらの街でもレスターファンがビールを片手にチャントしていたことは容易に想像できる。
アトレティコ戦でも、12人目の選手としてサポーターたちは必死にチームを後押しした。前半26分にアトレティコのサウール・ニゲスが先制し、一時は諦めムードが漂い、ファンが送る声援のボリュームは小さくなった。しかし、しばらくすると多くの人々が立ち上がり、再び大声を張り上げた。
さらに、後半になるとクレイグ・シェイクスピア監督は開始から守備を3バックにして、サイド攻撃とロングボールへと戦術変更。これが奏功して流れを引き寄せると、45分間にわたり必死に攻撃し続けた。16分にはジェイミー・ヴァーディーが同点弾を決めて、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。
だがその後は攻め続けるものの、堅守を誇る試合好者のアトレティコのゴールを割ることができず、刻々とファイナルホイッスルが近づき、ファンの祈りは叶わずにそのまま試合は終了。2試合合計1-2のスコアで敗退が決定し、2季にわたって続いたミラクル・レスターの夢は、ついに終幕を迎えることとなる。
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