CL決勝では出場停止も…ユニフォーム姿でトロフィー掲げた正当性
厳密に言えば、悲願のCL初優勝を成し遂げた12年決勝のピッチにテリーはいなかった。ベンチにすら入っていなかった。準決勝第2レグでの退場処分で出場停止となり、スタンド観戦していた。
その主将がチームスーツからユニフォームに着替えて優勝トロフィーを掲げると、世間では悪い意味で「テリーらしい」と呆れられ、合成写真で様々な歴史的瞬間に登場するインターネット・ミームで茶化された。
だがチェルシーの「身内」は、「決勝までの過程で貢献している自分には資格がある」と説明した主将に同感。テリーが、通称「幻のゴール」でリバプールに決勝進出を阻まれて悔し泣きした05年準決勝での無念、PK失敗によるマンU優勝に号泣した08年決勝での悪夢は、当人と共にファンも過去に葬る機会を欲していた。
更に言えば、チェルシーがCLでも強豪と認識されるようになった05年16強でのバルセロナ戦で、合計5-4の勝利を決めた第2レグ終盤の1点はテリーのヘディング。欧州制覇に向けたチェルシーの本格的な歩みは、いわゆる「主将らしい」重大なゴールによって始まったのだ。