守備的に戦わずとも鉄壁だったユベントス
カンプ・ノウでバルサが無得点に終わったのは昨年11月のマラガ戦以来で、16試合連続で最低1ゴールは決めていた。そのうち複数得点したのは14試合で、1ゴールに終わったのはレアル・マドリー戦とアトレティコ・マドリー戦のみ。ほとんどの試合で3ゴール以上奪っている。
ホームゲームであれば複数得点、ないしは3得点以上挙げることも可能という自信がバルサの選手たちには共有されていたはず。故に17本のシュートで枠内シュートが1本のみ、というユベントス戦の記録は受け入れがたいものだ。
ユベントスには2ndレグで「守りに入らないこと」が求められていた。PSGは4-0で勝利した1stレグを経て、2ndレグはバルサ相手に極端な守備的布陣で戦い、大失敗していたからである。しかし、百戦錬磨の彼らにその心配は必要なかった。
そもそもユベントスは守備的に戦わずとも鉄壁だった。今季のリーグ戦では32試合を終えてわずか20失点、CLではバルサとの2ndレグも含めて10試合を戦って無失点試合が8つ。
とにかく堅い守備が持ち味なだけに、敵地カンプ・ノウでも“いつも通り”振る舞えば全く問題なかった。すでに3点のアドバンテージを手にしていることを意識した戦いをするまでもなかったということになる。
“いつも通り”に見えてそうではなかったバルサと、“いつも通り”でしかなかったユベントス。0-0というスコアだけでは平穏な試合のような印象を抱きがちだが、選手たちの精神面の安定が2試合を通して戦った末に如実な違いとして結果に反映されていた。
“奇跡”は2度も続けて起こるものではないから“奇跡”なのである。
(文:舩木渉)
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