「1点目」が入らず…。奇跡へのプレッシャーが重荷に
ところがお互いにシュートが枠に飛ばない。特にバルサはいくつも決定的な場面を作っていながら、いつも簡単にゴールを決めてしまう選手たちがことごとくシュートを枠外に飛ばしてしまった。
するとどうなるか。バルサの選手たちは時間とともに焦り、不安、苛立ち、後悔…そういった負の感情を溜め込んでいく。その様子は時折アップで映される彼らの表情からも読み取れるようになっていった。
選手たちの焦りや不安は会場全体に伝播していく。カンプ・ノウに集まった大観衆も同様の感情を募らせていった。
バルサのルイス・エンリケ監督はユベントス前日の記者会見で「1点目を取ることができたとすれば、2点目はカンプ・ノウが決めてくれる。3点目は自ずから生まれるだろう」と語ったと伝えられていた。
その言葉は時間とともに自分たちへのプレッシャーへと変わってしまった。PSG戦の“奇跡”を成し遂げた選手たちは、4失点を覆せたのだからまた同じように逆転できると信じていたはずだ。その信念、あるいは2度目の“奇跡”を義務づけられたことによるプレッシャーが、「1点目」が入らない状況で重荷となってしまった。
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