香川のパフォーマンスは悪くなかったが…爆発事件が未来を変えてしまったのか?
15日のアイントラハト・フランクフルト戦に続いて、香川真司はトップ下のポジションで先発出場。オーバメヤン、ロイスとの連携でモナコのゴールに迫ったが、フル出場した90分間の中で、1stレグのような結果を残すことはできなかった。香川のパフォーマンスは決して悪いものではなかったが、前半の20分を終えた段階で2点のリードを許した状況では、やはり難しかっただろう。
ドルトムントは48分にデンベレの驚異的な右サイドの突破から、ロイスが1点を返して気を吐いたが、反撃はそこまで。モナコは67分にファルカオを、81分にムバッペを下げる余裕を見せる。そしてその直後、ショートカウンターからジェルマンが3点目を決めて、ドルトムントの今季CL敗退が完全に決まった。
もし11日にチームが見舞われた爆発事件が無かったら、未来は変わっていたのだろうか。フットボールには誤審のような理不尽が付いて回る。しかし、今回ドルトムントが遭遇した災難は、そうした類の理不尽さとは決して一括りにすることはできないほどの受け入れ難い出来事だった。
誤審騒動のあった18日のレアル・マドリー対バイエルン戦の後で、CBボアテングが「これがフットボールで、これが人生だ」と振り返るようには、決して割り切ることはできないだろう。
また2ndレグ当日は、地元警察が根拠を示さずにドルトムントのバスの出発を遅らせたことで、試合開始が5分遅れることになった。このことが一因でチームは集中し切れず、開始早々の失点に繋がったのかもしれない。
しかしそうしたことを差し引いても、モナコは個々の煌めきはもちろんのこと、チームとしても一枚上手だった。プレッシングと組織的な守備、淀みない攻守の切り替え、そして若手とベテランの融合…今季のドルトムントが目指した理想を、モナコは体現していた。
事件も何もない状態で戦えば、結果は変わっていたかもしれない。それでもモナコがCLベスト4に相応しいチームだとして、ドルトムントの選手たちから異論はないのではないだろうか。
(文:本田千尋【ドイツ】)
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