視線の先にはワールドカップが。人一倍熱い思い
何もレッズとして取り組んできたことを変えるわけではない。胸のなかに秘めていた闘志を、さらに真っ赤に燃えあがらせる。レッズで確固たる結果を貪欲に求めていった先に、代表でのレギュラー再奪取があると何度も言い聞かせた。
視線の先には、まだ立ったことのないワールドカップの舞台がすえられている。選出が確実視されていた2010年の南アフリカ大会は、川口能活(現SC相模原)が低迷していたチームを鼓舞する精神的支柱としてサプライズ招集されたために涙を飲んだ。
満を持して臨んだ2014年のブラジル大会では、権田修一(現サガン鳥栖)とともに川島の戦いを見守った。6月には31歳になるだけに、4年に一度のサッカー界最大の戦いにかける思いは人一倍熱い。
「自分にはそんなに(ワールドカップ出場の)チャンスはないと思っているので。だからこそ、目の前の試合でチームとして結果を出し続けることが本当に大事になってくる。自分にしかできないプレーを、しっかりとやっていこうと思っています」
迎えた今月1日。アジア最終予選による中断明けの初戦で、敵地・ノエビアスタジアム神戸に乗り込んだレッズは3ゴールを奪って、ヴィッセル神戸の開幕連勝を4で阻止した。
後半36分にMF中坂勇哉に返された1点は、不用意なボールロストから仕掛けられたカウンターを食い止めようと、ペナルティーエリアを果敢に飛び出した西川がかわされた末に決められたものだった。
高く押し上げて戦う最終ラインとの、いわば表裏一体ともいえるリスク。失点の最終的な責任を負わされることの多いポジションだと受け止めたうえで、西川は努めて前を見すえてきた。
「一番やってはいけないことは、いままで積み重ねてきたものを簡単に無駄にしてしまうこと。ぶれずに継続していくなかで、トライした末のミスというものは自分の財産になっていくと思っているので」
もっとも、レッズが喫した失点はヴィッセル戦のそれが最後になっている。7日のベガルタ仙台戦は攻撃陣が大量7ゴールを奪う展開にも集中力を途切れさせず、リーグ戦で初完封を達成した。