一致団結していたはずのチームを崩壊させた1プレー
たった1つの軽率なプレーが試合の結末を大きく変えた。
現地時間18日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ。敵地サンティアゴ・ベルナベウに乗り込んだバイエルン・ミュンヘンは、史上初の連覇を目指す王者レアル・マドリーをあと一歩まで追い詰めた。
しかし、一致団結していたはずのチームは1人の愚かな行為によって崩壊する。84分、バイエルンのMFアルトゥーロ・ビダルがマドリーのMFマルコ・アセンシオに後ろからスライディングタックルを見舞った。
するとビクトル・カッサイ主審はモヒカン頭のチリ人MFにイエローカードを提示。前半5分の段階ですでに1枚警告を受けていたビダルは累積によるレッドカードで退場となった。バイエルンは1stレグのハビ・マルティネスに続き、2試合連続で退場者を出してしまった。
数的不利を背負ったバイエルンは、絶対的エースのロベルト・レバンドフスキをヨシュア・キンミッヒと交代させる。直前に投入していたトーマス・ミュラーを下げるわけにはいかず、ベンチで唯一ボランチをこなすキンミッヒを起用せざるをえなかった。
この時点で2戦合計スコアは3-3。アウェイゴール数でも並び、延長戦に突入する。数的不利のバイエルンは追加の30分間で3失点を喫し、力尽きた。アウェイチームにとって「1点が2点分の価値を持つ」時間帯で退場者を出したことによる影響はあまりにも大きかった。
ビダルは1stレグでも試合の流れを決定づけるミスを犯していた。先制ゴールを決めたはいいものの、突き放す大きなチャンスだったPKの場面でまさかの失敗。このプレーで流れはマドリーに傾いていったのは記憶に新しい。
恵まれたフィジカルを生かし、激しく相手とぶつかるプレーを持ち味としている強面のチリ人MFは、その荒さが仇となり、2試合連続で“戦犯”になってしまった。サッカーに“たられば”は禁物だが、バイエルンの選手が最後までピッチ上に11人揃っていれば、マドリーに勝利するチャンスがあったのは間違いない。