弱点をついたアトレティコ。後半に修正したレスター
先制点の行方が勝敗を決める状況であるだけに、キックオフから両チームの生み出す圧力は凄まじいものだった。レスターは、相手のチャンスメイクを阻むために中央を固め、アトレティコはヴァーディーにボールを渡さないために岡崎へ複数人でプレッシャーをかける。
この試合のスタッツを見ると、パス成功率はレスターが74%、アトレティコが70%と互いに80%を下回る数字となっている。通常、80%を切れば「上手くつなげていない」という印象を受け、苦言を呈されてしまうことも少なくはない。
しかし、この2チームは単純な技術ではない「巧さ」を持っていた。26分、アトレティコは中央でのパスをカットされると、流れたボールを左SBのフィリペが逆サイドへクロス。これに右SHのサウールが頭で合わせて重要な先制点を手に入れた。
レスターはペナルティエリア内を固めていたためサイドにスペースがあり、右サイドから入っていたサウールにはマークが外れていた。アトレティコは、30分弱でレスターのウィークポイントを見抜いた。
数多くのパスをつなげるようなプレーはないものの、的確に相手の弱点を突き、重要な局面ではピンポイントのクロスを蹴り、ゴールマウスの隅をヘディングで狙う高い技術を持つ。それがアトレティコというチームだと言える。
この先制点によって、ベスト4勝ち抜けは厳しい状況となったレスターだが、シェイクスピア監督は後半からFWの岡崎に代えてウジョア、CBのベナルアンに代えてSBのチルウェルを投入。システムを3-4-2-1に変更して逆転を目指した。
この変更は効果を発揮し、レスターの攻撃は活性化。2試合合計2点のリードを持つアトレティコだが、後半に限ってみればチャンスメイク数ではレスターが6回、アトレティコが1回、シュート数ではレスターが18本でアトレティコは2本と完全に押し込まれる展開となった。そして、61分にはヴァーディーがこの試合に限ると同点となるゴールを決めている。