失点に繋がるロストに本人も「一番反省しないと」
「自分がボールを取られたところからCKになって、そのCKでやられてしまった。それが一番の反省点」
中村俊輔は自身を戒めた。残り時間を考えれば、そのまま敗れても不思議ではなかった。
しかし、失点のきっかけを作ってしまったサックスブルーの10番はそのわずか1分後、ミスを吹き飛ばすようなビッグプレーを披露することになる。勝利を諦めない仲間たちの勢いに乗り、アウェイチームから勝ち点を取り上げた。
明治安田生命J1リーグ第7節、ジュビロ磐田とサガン鳥栖は決め手を欠いていた。攻守が度々入れ替わるものの、どちらもネットを揺らすことはできない。マッシモ・フィッカデンティ監督の言葉を借りれば「お互いが守りの方に人数を割いて、そんなに面白サッカーではなかった」という試合だった。
ヤマハスタジアムには歓声より溜息がこぼれた。しかしこの一戦は、暑さが和らぎ始めた後半終了間際からようやく“スタート”した。
88分、中村俊輔に相手が襲い掛かる。鳥栖の速攻が始まり、磐田は何とかゴールラインの外にかき出した。しかし、このCKを豊田陽平に頭で決められ先制を許す。「パーフェクトだった」と名波浩監督が振り返るように、相手エースのヘディング自体は防ぐのが難しいシュートだったが、そもそも与えなくていいセットプレーでもあった。
10番の高いキープ力は加入当初からチームメイトの絶大な信頼を得ており、今季ここまでを見てもレフティーを経由する攻撃は非常に多い。しかし、相手もそれをわかっているため、複数人で奪いに来る。この日も彼のところでボールを失う場面はあり、結果として失点にも繋がった。