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香川真司 8年前

香川、「恐怖心」乗り越えつかんだ勝利。8万人と一体になったドルトの再出発

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「魂」のこもった決勝弾、そして勝利

 開始早々の3分にマルコ・ロイスの復活弾で先制したドルトムント。スタジアムも平静を取り戻し、いつものブンデスリーガの光景が広がっていた。詰めかけたフランクフルトのファンも、相手に変に肩入れせず、ドルトムントを罵るチャントを口ずさむ。

 29分には、マルコ・ファビアンが遠慮なく強烈なミドルを叩き込んできた。ところどころミスパスも目立ち、苦しい戦いを強いられたドルトムントだったが、35分、お返しとばかりにソクラティスが観衆の目を奪うミドルシュートを決める。

 このギリシャ人DFにとっては、“意味”のあるゴールだった。

「2-1と勝ち越したから、もちろんチームにとっては重要な瞬間だった。だけど僕にとっては、ゴールは精神的に大切なものだった。僕の魂にとってもね」

 後半は、香川が振り返るように「チームの勢いがどっと落ちた」。試合そのものが停滞する。ドルトムントは何度か訪れたチャンスを決め切れなかったが、ようやく86分に、カウンターから最後はピエール=エメリク・オーバメヤンが決め切って、ゲームに終止符を打った。

 3-1という快勝にも、“難しさ”が伴ったと香川は言う。

「コンディションというよりは、メンタル的にやはり難しかったと思います」

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