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香川真司 8年前

香川、「恐怖心」乗り越えつかんだ勝利。8万人と一体になったドルトの再出発

チームバスが爆発に巻き込まれる事件から4日、ボルシア・ドルトムントはホームにフランクフルトを迎えた。まだ心の傷が癒えない中、香川真司は必死に戦ってチームの勝利に貢献した。選手たちと8万人のファンが一体になって掴み取った勝ち点3。試合を終えた香川は今、何を思うのか。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

爆発事件から4日。“非日常”で負った傷は未だ癒えず

香川真司
香川真司は爆発事件を乗り越えるには「時間が必要」と語る【写真:Getty Images】

 傷が簡単に癒えることはない。

 4日前、何の前触れもなくボルシア・ドルトムントのチームバスを襲った3つの爆薬による爆発。そもそも、心に傷を負ったのか、心に穴が空いたのか。それとも精神の一部が欠けてしまい、元に戻すことは不可能なのか。自らが攻撃の対象とされた事件の影響は、当事者でなければ、正確なところは分からない。

 第三者にも、おぼろげに感じ取れることはある。いつもの穏やかな気分を保つことが難しく、苦しみを伴い、それでも前を向かなくてはならないこと。精神を癒していくためにも、時の流れに身を委ねながら、前を向いていく必要があること。

 2017年4月15日のブンデスリーガ第29節。ホームで迎えたアイントラハト・フランクフルト戦でフル出場した香川真司は、試合後にあの事件をこう振り返った。

「気持ちの整理はなかなか、しづらいことではありますし、今週を乗り切るとかそういうことではなくて、時間は必要なのかなと思います」

 過密日程が続く中、香川たちが遭遇した非日常は、事故が起こった今週を乗り越えさえすれば、ひと段落するような出来事ではない。

 フランクフルト戦で香川は、1ゴール1アシストと躍動した11日のモナコ戦に比べると、精彩を欠くところがあった。動きに軽やかさがなく、ボールが収まらない場面も散見された。19分にはセカンドボールを拾って、DFをかわしてドリブルでエリア内へ進むが、決め切れないなど、フィニッシュの精度も欠いた。

 調子自体は、決して悪くはないのだという。

「別に調子は悪くはないですし、安定しているので。まあ、今日はさすがに疲れましたね。特に後半はね、チームの勢いがどっと落ちた中で、個人的にはちょっと集中力だったり、さらにいくっていう一歩が出なかったり。そういう意味では、また切り替えて来週に行きたいです」

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