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セリエA 8年前

北朝鮮とイタリアサッカーの知られざるコネ。18歳FWがセリエA初得点、中田英寿発掘のスカウトも尽力

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

イタリアへのルートはどのようにして確立されたのか?北朝鮮との知られざるコネ

ハン・グァンソン
ハン・グァンソンはAFC U16選手権優勝に貢献し、U-17W杯にも出場【写真:Getty Images】

 北朝鮮の金正恩国家主席はスポーツ愛好家として知られ、サッカー協会にも「メッシより強力な存在を輩出せよ」との号令を出して人材育成を厳命。そしてスペインとイタリアにあるサッカーアカデミーと提携し、最近では30名ほどの選手が新たに送り込まれたという。ハンもそのシステムの中で見出された一人だ。2014のAFC U-16選手権優勝に貢献したのち、ペルージャのアカデミーに移って技術を磨いていた。

 それにしても、北朝鮮は一体どのようにしてこんな人材輩出のルートを確立できたのだろうか。人権面では国連から度々非難声明を浴び、核兵器開発などの政治的要因で国際社会から孤立していると見られていた彼の国の人々が、なぜ西側の国のサッカー界と民間レベルでコネクションを持つことができたのか。

 その答えは単純である。イタリアが、他のG7参加国に先んじて北朝鮮との国交を回復しビジネスを行ってきた国だからだ。

 北朝鮮が大飢饉に瀕していた90年から、イタリアからは民間で人道的支援の動きが上がっていた。そして2000年、当時のイタリア外務省は西側社会の制裁に窮する国々とあえて積極的につながりを模索する外交方針をとった。

 そして同年、ランベルト・ディーニ外相が平壌を訪問し国交を回復。2002年には文化、科学技術等の発展の協力に関する二国間協定も結ばれた。そこから北朝鮮通の政治家も現れ(共産党系の左派のみならず中道右派にも存在する)、双方向でのビジネスを斡旋している。

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