「育成年代の選手は絶対勉強したほうがいい」
――丹羽選手の話を聞いていると、つくづく気の持ちようが大きいですね。予想外の出来事、不測の事態に直面したとき、どう向き合うのか。
「瞬間的には、なんでやねんという感情が沸きます。大事なのは、そこから先」
――サッカー以外に対してもその姿勢は貫かれますか? 女の子にフラれても?
「フラれたことないですね」
――くっ。
「違うことでお願いしますわ。すんません」
――では、勉強は? 失礼ですが、得意そうには見えない。
「うちね、父親が厳しくて、勉強しなければサッカーをやらせないという家庭だったんです」
――わりとできた?
「わりとというか、だいぶいい感じに」
――お父さんは、お堅い仕事を?
「建築関係のサラリーマンで、将来はサッカー選手なんてとんでもないという考え。僕は大好きなサッカーをするために勉強をしていました。けど、いま考えたら、勉強もサッカーに生きている。サッカーは頭のスポーツですから。
相手のフォーメーション、戦い方を分析し、どうやって崩し、守るのか戦略を立てる。考える力は大事です。数学の公式の当てはめ方に似通った部分も感じます。父親には非常に感謝していますよ。サッカーだけだったらいまの自分はない」
――監督の話を聞き、そこから重要な要素を抽出する能力も関係がありそう。
「相手の言いたいことがぱっとわかれば、効率が良くなる。聞いて理解でき、自分で考え、プレーで表現できるのがいい選手の条件です。だから、育成年代の選手は絶対勉強したほうがいい」
――とはいえ、中間テストや期末テストは大変だったでしょう。
「代表に招集されたときは1ヵ月くらい休むことになるので、それなりには。僕は、ガンバに通いやすい利便性を重視して、家から一番近くの公立、長野高校に受験して入ったんですけど、学校が理解を示してくれ、代表の期間も公欠を使うなど最大限のサポートをしてくれたんです」