数的不利の状況。1-2で試合を終えにいったバイエルン
“赤い巨人”と“白い巨人”の真っ向勝負は、とにかく「止める」「蹴る」の基礎技術から選手間の連携、アイディア、駆け引き…何から何までハイレベルで、一瞬の気の緩みも許されない90分間だった。だからこそPK失敗や、不用意な退場などの変化が試合の結果に影響を及ぼしてしまう。
バイエルンは終盤、点差を広げられないよう非常に慎重にゲームを進めていた。3点目のアウェイゴールを奪われてしまえば、敵地サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグが非常に難しいものになってしまう。1-2になって数的不利であることを考えれば、ゴールを奪いにいくのではなく2失点のまま終えることが妥当な選択だった。
前半はセットプレーでバイエルンがゴールを奪ったものの、マドリーにとってアウェイでの1失点は想定内だったはず。それも含めてどちらが先に自分たちから道を踏み外すか、張り詰めた緊張感の中で緻密さと慎重さが要求される展開だった。
世界最高レベルの我慢比べは、ひとまず“白い巨人”マドリーに軍配が上がった。だが、1点差であることを考えれば“赤い巨人”バイエルンにも十分にチャンスはある。2ndレグは一気に勝負をかけ、先に主導権を握った方が勝つ、1stレグとは全く違った戦いになるはずだ。
(文:舩木渉)
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