岡崎を無効化したアトレティコの“プランB”とは?
アトレティコはビルドアップ時に中盤のサウールもしくはガビがDFラインまで下がり、CBのゴディンとサヴィッチと3人でボールの出し手となった。これによって、岡崎のプレスは無効化され、アトレティコはスムーズに攻撃を組み立てることを可能とした。
アトレティコのシメオネ監督は、レスターのプレッシングのキーマンは岡崎と見ていたのかもしれない。岡崎のプレスが効かなければ、レスターの圧力は大きく減少する。さらに、アトレティコはガビを中心としたパスワークによって、細かくボールをつなぐことで相手を翻弄し続けた。
さらに、コケとカラスコがサイドを中心に攻めることでレスターの両サイドは抑え込まれた。この試合のプレーエリアを見ると、レスターの左SBフクスと同SHのオルブライトンはともに65%を自陣で過ごし、右サイドはSHのマフレズが敵陣で60%を記録するものの、SBのダニー・シンプソンが自陣で70%。
レスターは、左サイドは自陣に押し込まれ、右サイドは攻撃に出たいマフレズと、守備のサポートを受けられないシンプソンの間延びしたエリアとなっていた。
その結果、アトレティコの左サイドに位置するコケは、90分間で100本のパスを記録。中盤のガビの112本に次ぐ数のパスをつないでレスターを翻弄し続けた。
そして、試合後のチームスタッツを見るとレスターのパス本数214本に対して倍以上の537本をつなぎ、支配率は64%を記録。アトレティコは本来、プレッシングからの速攻を得意とするため、パス本数や支配率は低くなる傾向にあるが、この試合では真逆のスタイルを貫いた。
その一方で、28分のグリーズマンによる先制となるPK奪取の場面では、自陣から一気のカウンターを仕掛けた。レスターにとっては、守備に回ればかわされ、攻撃に出ればカウンターを狙われる…といったように常に後手の回る展開を強いられた。