システムの戦術。共通点の多い2チームの対戦
「似た者同士の一戦」と謳われる一戦は数多く存在する。同じフォーメーション、同様の戦術、共通したゲームプラン…。チャンピオンズリーグ準々決勝で激突したアトレティコ・マドリーとレスターもまた、その1つに数えられていた。
4-4-2のフォーメーションで、前線からの激しいプレス、スピーディーなカウンター、フィールドプレイヤー全員のハードワーク、50%を下回るボール支配率。確かに、この2チームは「似た者同士」と言えるだろう。今季のCL8強の中で、お互いに最も嫌な相手と考えていたかもしれない。
そして、そういった一戦で勝敗を分けるのは“もう1つの顔”、プランBの有無である。
アトレティコのホーム、ビセンテ・カルデロンで行われた1stレグ。キックオフ時に採用されたのは、互いに4-4-2。アトレティコにとってもレスターにとっても、代名詞ともいえるフォーメーションだった。
レスターは、クラブ史上初のCLでプレミア勢唯一の8強進出、そして昨季ファイナリストとのアウェイでの1stレグと難しい条件の出揃った一戦だったが、通常通りの戦略で挑んだ。
ヴァーディーと岡崎の2トップは、岡崎が下がり目に位置してDFラインと中盤の間から猛プレスを仕掛け、相手のビルドアップの選択肢を限定的なものとする。中盤で奪ったボールを素早く前線へ送り、ヴァーディーがDFラインの裏を狙うことでカウンターを仕掛ける。
アトレティコは、データサイト『Who Scored.com』によるチーム分析に「オフサイドによる回避が非常に苦手」とあるように、DFラインが裏を突かれやすい。ヴァーディーにとっては相性の良い相手だった。
しかし、アトレティコが採った戦略は「いつも通り」とは全く異なるものだった。