事件翌日の開催に違和感。選手も「良い気分ではなかった」
CLの準々決勝ともなれば、対戦相手は知名度とは関係なしに“強者”となる。多くのブンデスリーガのクラブのように、必要以上に構えたりすることはない。ラインを高く保ち、前からプレスを仕掛けてくる。ワンタッチ、ツータッチで堂々とボールを回してくるモナコ。平時ですら簡単ではない相手に、前半、爆発事件がピッチ上に残存するドルトムントは苦しんだ。
19分、カウンターで翻弄され、最後はムバッペに決められて失点。35分には、ラッジの左からのクロスに、ベンダーがヘディングでオウンゴール。いつものように戦いたくとも、戦えるはずがなかった。
16分には、ソクラティスが裏に抜け出すムバッペを倒してモナコにPKを与えてしまっている。そのPKをキッカーのファビーニョは左に外したことで、スタジアムは湧いたが、ピッチ上で奮戦する選手たちに勢いを与えるまでには至らなかった。
「僕らもまた人間だということを忘れてはならない。何かが起こった後で、こんなにも早くプレーしなければならないことは良い気分ではなかったね」
後半からベンダーに代わってピッチに立ったヌリ・シャヒンは、そう語った。確かにブンデスリーガ、ドイツカップなどで、この先の試合日程は詰まっている。CLに関しては、来週には準々決勝の2ndレグが行われ、5月の頭には準決勝が開催される予定だ。
しかし、死者が出なかったとは言え、テロ事件が起きた直後の翌日に予定されていた試合が開催されることには、どこか異和と違和が漂う。それは返ってテロ行為を軽んじることであり、また、欧州ではテロが日常化しつつあることの証左とも言えるのかもしれない。