PSG戦に続く“奇跡”はあるか
最終的にこの試合の勝敗を分けたのは、ディバラの卓越した個人能力や、守護神ジャンルイジ・ブッフォンの神がかり的なスーパーセーブといった細かなプレーだったかもしれない。それでも大局的に見ればユベントスの方が、バルサよりも優れたチームであることは明らかだった。
3失点しているとはいえ、バルサは1点でも取れていれば2ndレグの戦い方は大きく変わった。0-3ではなく1-3なら、アウェイゴールルールによって2ndレグは最低2-0でも90分間で勝ち抜けを決められる。カンプ・ノウでユベントスに1点取られてしまったとしても、90分間で3点奪えば延長戦に持ち込める。
だが、現実は0-3。そうなると2ndレグを90分で終えて準決勝進出を決めるには、最低でも4点が必要になる。もし1失点でもしようものなら、5点取らなければならない。
この状況で思い出すのは今季のCL決勝トーナメント1回戦、パリ・サンジェルマン(PSG)との2試合だ。1stレグを0-4で終えたバルサは、誰もが諦めかけた2ndレグで6-1という衝撃的な勝利を収め、“奇跡”と呼ばれるほどの大逆転劇を演じて見せた。
ユベントスとは3点差だが、1stレグで見せつけられた実力差を鑑みればPSG戦と同等かそれ以上の絶望感がある。過去にCL準々決勝の1stレグを0-3で終えたチームが準決勝進出を果たした例はない。
悪夢再び。
そう表現するのが妥当な惨敗だった。バルサならまた“奇跡”を起こしてくれるのではないかと希望を抱きたくなるが、“奇跡”というのは言葉の通りそう毎回起こるものではない。今はただ、0-3というスコアに表れた実力差を認め、カンプ・ノウでの2ndレグに向けて顔を上げて前に進むのみだ。
(文:舩木渉)
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